Linux およびオープンソースのトータルソリューションプロバイダであるVA Linux Systemsジャパン株式会社 (本社: 新宿区西新宿2-6-1、代表 取締役社長:上田 哲也、以下 VAリナックス)のOSDN事業部『OSDNジャパン』は、米国OSDN社が運用しているオープンソース開発者のポータルサイトOSDN(Open Source Development Network)の運営サイトの一つである、SourceForge.netの日本版『SourceForge.jp』(http://sourceforge.jp/)の運用を、両者の協業のもとに2002年4月19日から正式運用を開始致します。

は、オープンソース・ソフトウェアの開発のために必要な全てのツール、リソース、機能を統合的に利用できる環境を提供しており、現在37,000以上のオープンソース開発プロジェクトと394,000人以上の開発者が、日々SourceForge.netにおいてソフトウェアの開発に関わっています。SourceForge.netでは、Linuxカーネルに含まれる多くの機能やドライバ等の、よりOSの根幹に関わるソフトウェアを始め、多様なプロジェクトが運営されています。Python、Tcl/TKといったプログラミング言語、MySQL,Firebirdに代表されるデータベースエンジンとミドルウェア、GUI環境、デスクトップアプリケーション、サーバーアプリケーション、PDAツール、CRMシステム、eコマースエンジン等、様々な領域のソフトウェアの開発が行われており、オープンソース・ソフトウェア開発のためのサイトとしては、圧倒的に世界最大の存在です。また、オープンソースを支持する多くの大手企業が、自社のソフトウェアをオープンソース・プロジェクトとして開発を行う場にSourceForgeを選択しています。例えば、Linuxカーネルクラッシュダンプ(【LKCD】http://lkcd.sourceforge.net/)、Linuxカーネル状態トレーサ(【LKST】http://lkst.sourceforge.net/)は、SourceForge.netで開発が進められています。

VAリナックスのOSDN事業部『OSDNジャパン』が、米国OSDNと密接な協業体制のもと、運営を開始するSourceForge.jpは、SourceForge.netで利用できる全ての機能を日本語でも容易に利用する事を可能にした、バイリンガルな開発システムとなっています。これによって、日本語でのコミュニケーションによって開発を進めたいという要望に応えることが可能となり、日本国内のソフトウェア産業育成や協業体制の促進、さらにソフトウェア開発者の育成といったインキュベータ的役割を担う事になると考えています。また、国内企業が持つソフトウェア資産のオープンソース化を行うためのスペースとして活用されることで、コミュニティと企業の協調体制を促進する事も目標の一つです。さらにSourceForge.jpとSourceForge.netとの情報共有のシステムを整備する事で、日本発のソフトウェアを世界に発信し、ソフトウェア市場における日本の位置づけを高める活動にも注力していきます。

VAリナックスとOSDNジャパンは、SourceForge.jpを、日本における全てのオープンソース・ソフトウェアの開発者が集う交流拠点として位置づけ、日本におけるオープンソース・ソフトウェアの開発活性化と普及促進に貢献してまいります。

■ OSDN(Open Source Development Network) 概要
米国OSDN社が運営するOSDN (Open Source Development Network)は、オープンソース・ソフトウェアの開発と革新のための最先端のニュースと情報交換、共同作業の促進、そして成果物の配布を行うためのコミュニティから構成されています。また、オープンソース業界の著名人による啓蒙、教育、論説や議論のためのチャネルも提供しています。この OSDN の最終的な目的地である各コミュニティサイトには、Slashdot、Freshmeat.net、NewsForge.comSourceForge.netGeocrawlerLinux.comThemes.org、そして ThinkGeekが含まれ、毎月 600 万人以上のユニークユーザと 1 億5千万以上のページビューを記録しています。日本語サイトとしては、国際化されたSourceForge.netと2001 年5 月 28 日に開設されたスラッシュドット・ジャパンが存在します。OSDN と各サイトに関する情報は、http://www.osdn.com/にあります。
■ 賛同文
◎慶應義塾大学
教授 WIDEプロジェクト代表 村井 純氏
SourceForge.jpの正式運用開始おめでとうございます。いまやオープンソースは、我々にとって無視することのできないソフトウェア開発の一手法となっています。オープンソースソフトウェアの開発に必要とされる様々な機能を提供してくれるSourceForge.jpが、この流れをさらに加速してくれることでしょう。より多くの優れたソフトウェアが、日本発-SourceForge.jp経由で世界に羽ばたき、インターネットの更なる発展に貢献することを望んで止みません。SourceForge.jpが多くの日本の開発者にとって、持てる力を存分に発揮するコラボレーション(共同開発)の場となることを期待しています。

 

◎株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)
取締役 技術本部ネットワーク技術部部長 浅羽 登志也氏
SourceForgeの日本での運用開始を歓迎いたします。インターネットの発展において、オープンソース・ソフトウェアの果たした役割は非常に大きく、これからの将来においても必要不可欠な存在です。SourceForge.jpを通じて、将来のインターネットを支えるソフトウェアが開発されることを期待しています。

 

◎Linux SuperH Maintainer
未踏ソフトウェア創造事業 プロジェクトマネージャ (平成13年度、14年度)
独立行政法人 産業技術総合研究所 主任研究員 g新部 裕氏
<<< ここが “潮流” の源泉だ。>>>
Sourceforge.JP の発進、おめでとう!Linuxをはじめとする自由のソフトウェアの開発は、組織を越えた人々の協調と切磋琢磨によって大きくなってきたものである。これを取り巻く活動、特に開発の活動の実際はなかなかわかりづらく、一種独特の文化を形成してきた。その成果である OS、GNU/Linuxは多くの分野で使われるようになってきたが、「開発」の秘奥については、世に知られることは少なかった。知られることがあっても、物語としてであり、そのものに触れることは難しかった。Sourceforgeは、これまでの開発者の秘術として伝えられてきた文化を発展させ、オープンで競争を促進させる仕組み、技術を集積する仕組みを備えたサイトである。Sourceforgeは、既存のソフトウェア開発プロジェクトに対して有用であるだけでなく、次代の育成、啓発と教育、新しいプロジェクトへの発展にとって、これまでにないユニークな威力を発揮している。Sourceforge.JPの発進は、日本において、この文化と技術の導入を促進させ、また、新たな局面を作っていくだろう。これまで日本のこの分野は、潮流はどこか、どうすればうまくその波に乗れるかという考え方が支配的であったように思う。Sourceforge.JPはそういう考えに応えるものではない。そうではない、ここが潮流の源泉だ。ここから始まるのだ。Happy Hacking!

 

◎電気通信大学情報工学科
教授 竹内 郁雄氏
ソフトウェアに弱いと言われ続けている日本は、オープンソース・ソフトウェアの世界的潮流の中でまた遅れをとるのではないかと心配しておりましたが、SourceForge.jpが運用開始され、希望が見えてきました。オープンソース・ソフトウェアには、開発者たちの健全で生産的な、大きな社会の形成が必要です。SourceForge.jpは日本語という我々にとって最も重要なインフラを整えてくれるとともに、世界共通のオープンソース・ソフトウェア開発インフラを与えてくれます。その上に実り多い豊かな「社会」を築くのはオープンソース・ソフトウェアに関心のあるすべてのみなさんの手に委ねられています。ぜひ積極的に参加してください。それが日本のソフトウェア産業の底上げに直結すると信じております。

 

◎株式会社 創夢 
取締役 松山 直道氏
コンサルタント 蛯原 純氏
SourceForge.jpの運用が正式に開始されることを歓迎します。オープンソースソフトウェアを長期間にわたり、維持開発するためには、分散並行開発を支援するための枠組を維持運営しつづける必要があります。これまで、開発を支援する枠組は、ソフトウェアの開発者自らが運営/維持管理を行なうことが多く、ソフトウェアの開発以外の部分で開発者個人へかかる精神的/物理的/金銭的負担は少なくありませんでした。SourceForge.jpを利用することにより、これからの開発者は、自らのテーマだけに集中し、開発作業をより円滑かつ高速に進めることができるようになるでしょう。それまで誰も思い付かなかったような斬新なソフトウェアが、SourceForge.jpからいくつも生まれることを期待しています。

 

◎Debian JP Project
会長 鵜飼 文敏氏
SourceForge.jpの運用開始を歓迎します。SourceForge.jpの元のSourceForge.netはいうまでもなく世界最大規模のオープンソースソフトウェア開発のインフラであり、そのシステムはsavannah.gnu.orgなどにも採用されているものです。そのSourceForge.netのシステムが日本語でも利用できるようになったことで、日本語でのオープンソースソフトウェアの開発の場として使われることでしょう。SourceForge.jpで経験をつみ、日本からも数多くのオープンソースソフトウェアを世界に発信していけるようになることを願っています。
■ 宣言文
1,000プロジェクト創造宣言

 

オープンソースという言葉がエリック・レイモンド、ブルース・ペレンスらの主導によってVA Linux(現米国VA Software Corporation)のオフィスで行われた会議で生み出されてから既に5年の月日が過ぎました。当初のオープンソース運動の目標は、「自由なソフトウェアをビジネスの世界に受け入れさせるため」であり、一種のマーケティング・キャンペーンとして開始されたものですが、その結果、Linuxに代表されるオープンソース・ソフトウェアはビジネスの世界において急速に確固たる地位を確保することになりました。しかしながら、コミュニティと呼ばれる国籍や組織を越えた人々の協働作業によって開発されるというオープンソース・ソフトウェアの開発スタイルは、多くの場合、協働開発を行うための開発インフラの運営、維持がそのコミュニティ自身に委ねられ、開発者への開発以外の負担を強いるものでした。

 

このような問題を打破するためにSourceForge.netというサイトが生まれました。SourceForge.netは、オープンソース・ソフトウェアの開発者が開発のためだけに集中できるよう、必要なリソース、機能を提供するというコンセプトで作られたサイトですが、現在35,000を越えるプロジェクトが登録され、既存の著名なソフトウェアの開発だけでなく、新しいソフトウェアの創造の場としての意味を持つに致っています。ゆえに、世界のオープンソース・ソフトウェア生産工場的役割を果たしていると言えるでしょう。

 

しかし、目を日本に移すと、SourceForge.netがある程度国際化されているにも関わらず、日本発もしくは日本人主導のプロジェクトが、欧州等と比較して著しく少ないという現状があります。また、ソフトウェア開発という側面で日本が遅れを取っているということはよく言われることでもあります。SourceForge.net上でのプロジェクトが少ないという問題は、言語を含め、いろいろな原因があると思いますが、我々 VAリナックスとOSDNジャパンは、SourceForgeの仕組と理念を日本に持ちこむことで、日本におけるオープンソース・ソフトウェアの開発活性化を促すために、SourceForge.jpを立ち上げることを決断しました。

 

既存の開発プロジェクトの開発インフラとして利用してもらうことはもちろんですが、我々は、

 

 ・次世代を担うソフトウェア開発者の育成と新しいソフトウェアの創造の場
 ・企業等が保持するソフトウェア資産の公開の場
 ・コミュニティと企業の協業の場

 

として利用されることを願っています。そして、SourceForge.jp運営開始一年を目処に1,000プロジェクトが登録され、将来的にはSourceForge.jpを通して、世界に通用する有用なソフトウェアが1,000個の単位で創造されるまで運営を続けたいと考えています。1,000個の有用なソフトウェアというのは非常に果てしない目標ですが、1,000のようなある種の数字の一線を越えた時、日本におけるオープンソース市場に大きな変革が起きるのではないかと期待しています。その大きな変革を生み出すには、VAリナックスとOSDNジャパンだけでは無理であります。我々には多くの仲間が必要ですし、この壮大なプロジェクトの成功は、これを読んでいるあなたたちにかかっています。我々はそのお手伝いをするだけに過ぎません。

 

さぁ、あなたの力で世界を変えてみませんか?

 

OSDNジャパン 統轄マネージャ 佐渡 秀治
■ ヴィーエー・リナックス・システムズ・ジャパン株式会社について
ヴィーエー・リナックス・システムズ・ジャパン株式会社 (以下、VA Linux) は、各種 OS や仮想化技術、クラウド基盤構築に関連する OSS をはじめとした多岐にわたる事業分野で利用されている OSS について、高度な技術と経験を基盤に、技術コンサルティング、開発支援、障害解析サポートを提供する企業です。
VA Linux は、2000年9月に設立され、Linuxカーネルや仮想化に関するグローバルレベルの技術力をベースに Linux およびオープンソース業界を牽引する中核企業として成長を続けており、SCSK グループ企業としてオープンソース・ソリューション推進の先導役となっています。
詳しい情報は、https://www.valinux.co.jp/