VA Linux Systems ジャパン株式会社(本社:千代田区神田錦町3-24、代表取締役社長:上田 哲也、以下 VAリナックス)は、SPEC SFS97_R1 V3.0ベンチマークテストにおいて、独自チューニングのNFS修正パッチを適用したLinux OS (Kernel 2.4.19 +VAパッチ)が、未チューニングのLinux OS (Kernel 2.4.20 + XFSパッチ)と比較して約3倍の高スループットを記録したことを発表します。

具体的には当社試験環境において、通常のXFSパッチを使用したNFSサーバのスループットが最大値3151 ops/sec(平均レスポンスタイム:3.9 msec/op)であったのに対して、VAパッチを使用した環境では最大値9845 ops/sec(平均レスポンスタイム:2.8 msec/op)と、3倍以上の数値を得ることができました。

NFSはLinuxカーネル内部に実装されており性能を向上させるためには、カーネル内の数多くのサブシステムのチューニングが必要になります。VAリナックスでは、NFSサーバの実装でボトルネックとなる点を詳細に調査し、NFSサーバの性能向上と高負荷耐性の強化のために約120項目に及ぶチューニングを実施しました。これにより、ハイエンドレベルのシステムに対応できる高性能性と高安定性の両立を可能にしました。

 

■高速NFSの提案とチューニング技術の応用

今回のNFSチューニングの結果、これまで分散システムの性能面でボトルネックになりがちであったNFSサーバの性能と負荷耐性を大幅に改善することに成功しました。VAリナックスは、この成果を用いて、大規模メールシステムなど様々なシステム構築をご提案していきます。また今回行ったチューニングは、ディスクI/OおよびネットワークI/Oの性能を向上させることに重点を置いております。したがって、ディスクI/O、ネットワークI/Oの性能が求められるストリーミングサーバなどの分野にも応用可能です。さらに、メモリ領域が大きく負荷も高い環境で使用されるCADシステムや印刷業界向けのストレージ製品では高価なハイエンドNAS専用機を用いるケースが一般的ですが、VAリナックスがチューニングしたNFSを搭載したNFSサーバを採用することで、高速処理能力・高安定性を実現しながらも大幅なコスト削減が可能になります。

 

■今後の取り組み

VAリナックスは、昨年度後半よりプロフェッショナルサービス事業を強化し、より一層品質の良いサービスが提供できるよう努力してまいりました。当事業部では顧客のニーズに応じて開発・性能改善を実施しておりますが、今回発表したベンチマークテスト結果は、その成果が実数値で証明されるものとなりました。今後は、NFSの高可用性(ハイアベラビリティ)に重点をおき機能向上を目指して開発に取り組んでいく予定です。

 

■テスト環境(NFSサーバのスペック)

CPU Dual Intel Xeon 2.0 GHz
メモリ 4GB DDR-SDRAM
チップセット Intel E7500
ディスク台数 15×2セット
NIC IntelPRO/1000XT サーバアダプタ(1000BASE-T)x2セット
FC-HBA Qlogic QLA2300x2セット
OS Linux 2.4.19 (+VAパッチ)
比較対象 Linux 2.4.20 (+XFSパッチ)
使用機器 LANCE LX-3603 (株式会社ランス社製サーバ)

 

■NFS のチューニング項目

VAリナックスでチューニングした主な内容は次の通りです。

 

  • カーネル内部でNFSサーバのゼロコピーを実装(内部処理のムダを削減)>
  • NFSで使用する資源の拡大・変更
  • カーネル内部での排他処理の改善(ジャイアントロックの削減によりマルチプロセッサ時のNFS処理の並列化を実現)
  • I/O待ちから復帰したプロセスを優先的に処理させる
  • NFS処理サブシステム(nfsd)のCPU奪取抑制
  • メモリ奪取抑制による負荷耐性の強化
  • CPUキャッシュ利用効率の改善

※NFSの開発成果は、Linuxコミュニティへフィードバックしています。

 

■ベンチマーク結果(性能比較グラフ)

NFS性能比較グラフは、弊社WEBサイトの技術情報ページ「NFS サーバの高速化」に掲載しております。

 

  • 「負荷に対するスループット値」
    グラフ上の実線:VA-PoweredLinux2.4.19(最大値9845ops/sec)
    グラフ上の点線:Linux2.4.20+XFS(最大値3151ops/sec)
  • 「レスポンスタイム(1)」グラフ上の実線:VA-PoweredLinux2.4.19
  • 「レスポンスタイム(2)」グラフ上の実線:Linux2.4.20+XFS

【性能測定協力】株式会社ランス

■ ヴィーエー・リナックス・システムズ・ジャパン株式会社について
ヴィーエー・リナックス・システムズ・ジャパン株式会社 (以下、VA Linux) は、各種 OS や仮想化技術、クラウド基盤構築に関連する OSS をはじめとした多岐にわたる事業分野で利用されている OSS について、高度な技術と経験を基盤に、技術コンサルティング、開発支援、障害解析サポートを提供する企業です。
VA Linux は、2000年9月に設立され、Linuxカーネルや仮想化に関するグローバルレベルの技術力をベースに Linux およびオープンソース業界を牽引する中核企業として成長を続けており、SCSK グループ企業としてオープンソース・ソリューション推進の先導役となっています。
詳しい情報は、https://www.valinux.co.jp/