VA Linux Systems ジャパン株式会社(本社:千代田区神田錦町3-11、代表取締役社長:上田哲也、以下 VAリナックス)は、ディレクトリサービスを実現するオープンソースソフトウェアとして標準的な実装である「OpenLDAP」にて、大規模なディレクトリシステムを構築するために必要な、同期レプリケーションとシステムの高可用性を実現する機能(通称:syncbackup)を公開したことを発表します。

VAリナックスでは、旧来よりOpenLDAPの国際化対応やバグ修整等の開発活動を行い、さらにOpenLDAPの開発元であるOpenLDAP Foundationに対してサイト運営のためのサーバリソースを提供するなど、OpenLDAPの開発に対してコミットを続けています。

今回発表の機能は、OpenLDAPの信頼性及び性能向上を図るということで、情報処理振興事業協会(IPA)が実施している「オープンソフトウェア活用基盤整備事業」の支援を受け、本年6月より開始されたプロジェクトの成果であり、11月末をもってプロジェクトに一旦区切りをつけ、成果の公開に至ったものであります。

今回公開されたのは、LDAPで同期レプリケーションとシステムの高可用性を実現するためのOpenLDAP用のパッチであり、従来のOpenLDAPの場合には、最悪のケースにおいてディレクトリの整合性が取れないということもありますが、今回公開された機能を用いる事でOpenLDAP 2.0, 2.1, 2.2では実現できない信頼性の高いディレクトリ更新環境を容易に構築可能とします。今回の同期レプリケーション機能の特徴は、このような信頼性の高い同期レプリケーションを実現し、さらにそれがLDAPプロトコルのみ(LDAPv3に準拠した標準プロトコル、およびLDAPv3に準拠した拡張操作、拡張コントロール)による実装がなされ、OpenLDAP以外のLDAPv3に準拠したLDAPサーバへの将来的な相互接続性が確保されているということもあります。また、2台構成の環境でもサービスの無停止と信頼性を両立するために、weaksync 同期レプリケーションという機能を用意しました。

今回公開された機能の詳細、およびパッチについては、SourceForge.netに開設されたHigh-Available OpenLDAP environment project(http://openldap-ha.sourceforge.net/)のページ、およびsyncbackupのメイン開発者であるVAリナックス技術部の樽石将人による「信頼性の高いLDAPシステムを構築する」(http://openldap-ha.sourceforge.net/syncbackup.html.ja)の文書にて公開されています。

VAリナックスでは、今後もsyncbackupの強化をはじめとして、OpenLDAPの信頼性、高可用性、性能の改善を図り、数百万規模のユーザを抱える認証システムへの応用やディレクトリの移行など、より大規模なシステムにおけるOpenLDAPの利用を推進していきます。

なお、今回OpenLDAPの信頼性向上や無停止システム、LDAP検索負荷分散などを実現させる手法などを紹介するチュートリアルが12月2日から5日まで開催されている「Internet Week 2003」(http://internetweek.jp/)内にて、syncbackupのメイン開発者である樽石将人によって12月4日に行われることになっております。

また、樽石将人が監訳に参加した書籍「LDAP ―設定・管理・プログラミング―」(オーム社)が12月中旬に発売されることになっております。

■ Kurt Zeilenga氏(OpenLDAP Foundation Chief Architect)からのコメント
VAリナックスのOpenLDAP Software開発への貢献は非常に興味深いものです。VAリナックスは、OpenLDAPの他の貢献者と共に一致協力し、OpenLDAPの高可用性を高めるために重要な働きをすることでしょう。
■OpenLDAPについて
OpenLDAPは、OpenLDAP Foundationが管理、開発を行っているオープンソースのLDAPディレクトリサービスを提供するソフトウェアです。LDAP (Lightweight Directory Access Protocol) はディレクトリサービスの一つで、 X.500ディレクトリ・サービスを元に開発されたプロトコルです。中核となる仕様は、RFC2251 “The Lightweight Directory Access Protocol (v3)”で定義されています。OpenLDAPは、MicrosoftのActive DirectoryやNovell eDirectoryと同様にLDAP v3 に準拠しています。((http://www.openldap.org/))
■IPA「オープンソフトウェア活用基盤整備事業」について
情報処理振興事業協会(IPA)は、情報処理の促進に関する法律に基づいて、1970(昭和45)年10月1日に設立された政府関係機関(特別認可法人、2004年1月より独立行政法人情報処理推進機構に改組する)。「オープンソフトウェア活用基盤整備事業」は、IPA事業の一環として、オープンソースソフトウェアの利用環境や開発環境の充実を支援し、オープンソースソフトウェアを安心して活用するための基盤を整備することを目的として、2003年度から実施されている。 3年間でオープンソースソフトウェアをエンドユーザが活用できる基盤を整備し、オープンソースソフトウェア市場の形成を支援するとともに、ソフトウェア産業においてオープンソースソフトウェアを活用した開発及びサービスの提供をするために必要な機能及び性能を持ったソフトウェアの充実を図る。
■OpenLDAP(R) 登録商標および商標について
OpenLDAP(R)は、米OpenLDAP Foundationの登録商標です。その他の商品名・会社名等はすべて各社、各組織の商標または登録商標です。
■ ヴィーエー・リナックス・システムズ・ジャパン株式会社について
ヴィーエー・リナックス・システムズ・ジャパン株式会社 (以下、VA Linux) は、各種 OS や仮想化技術、クラウド基盤構築に関連する OSS をはじめとした多岐にわたる事業分野で利用されている OSS について、高度な技術と経験を基盤に、技術コンサルティング、開発支援、障害解析サポートを提供する企業です。
VA Linux は、2000年9月に設立され、Linuxカーネルや仮想化に関するグローバルレベルの技術力をベースに Linux およびオープンソース業界を牽引する中核企業として成長を続けており、SCSK グループ企業としてオープンソース・ソリューション推進の先導役となっています。
詳しい情報は、https://www.valinux.co.jp/