概要

4 月 26 日より 4 日間に渡り、カリフォルニア州サンタクララにて「 OpenStack Conference & Design Summit Spring 2011 」が開催された。参加者が 400 人以上、キャンセル待ちが 150 人以上という盛況ぶりからも OpenStack への関心の高さがうかがえる。

1 日目は一般的なセッションのみで Design Summit は2 日目の 4月 27 日から開始されました。Design SummitだけでなくUser TrackやService Provider Trackなどがあり、勢いを感じさせるイベントでした。

1日目(4月26日):Business Session

  • Welcome & OpenStack Vision:Jim Curry
    • OpenStackの状況のまとめとこれからの方向について話されました。特に日本からの貢献が多いので日本震災に関するコメントがあり、それに対して日本からのコメントもありました。チャリティーTシャツをつくって販売しており売上が寄付されるそうで、ありがたく思いました。
  • OpenStack API Extensions

    • OpenStack APIへの拡張方法について提案がなされました。既存 APIを保ったままAPIの拡張を行なえるする為です。OpenGLをお手本として拡張APIから正式APIに昇格する手順を提案しています。拡張方法はvendor idを、割り振りをprefixとして使用する方法で行ないます。
    • また、 26日のGeneral Sessionでは、OpenStack Project Updateと題して、Nova Project Tech LeadのVish Ishaya氏やOpenStack Image Service Tech LeadのJay Pipes氏らが講演を行いました。
OpenStack Image Service Tech LeadのJay Pipes氏
Nova Project Tech LeadのVish Ishaya氏

2日目(4月27日):Design Summit

 

  • Release Schedule – Diablo and after

    • 時期リリースであるDiablo(2011年7月リリース予定)に向けての開発スケジュールについて話し合われました。何通りかのスケジュール案が示されましたが、途中で gamma freeze と中間リリースを行なう方針になりそうです。
  • Review Branching and Release Model
    • ブランチおよびリリースモデルについて議論されました。現在は、OpenStackは開発ブランチにて開発が行なわれリリース前にfeature freeze 、gamma freezeの後リリースブランチを分岐させるモデルを取っています。
    • それ以外のモデルとしてLinux KernelモデルとNVIEモデルが紹介され、chromeモデルも例に出されました.NVIEモデルを試すことになりました。
  • Split Code for Services into Separate Repositories
    • プロジェクトへの参加者が増えつつあり、Novaのコンポーネントが増えてきました。共通コードを持ちながらもコンポーネント間の独立性を高めてそれぞれのコンポーネントの開発を加速させる為にリポジトリの分割について話し合われました。
  • Multiple Cluster Container Syncing
    • swift container間でdataのreplicationを行なう拡張について紹介がなされました。2container間で同期を取るようになっていますが、chainを行なう事で3以上のcontainerでもsync出来るような設計がなされています。まだ基本的な機能が実装されているだけで、多くの実装作業が残っているようです。

3日目(4月28日):Design Summit

 

  • AuthN/AuthZ Service

    • 現在はそれぞれのsub projectで authorization, authentication が実装されていますが、それらを統一して扱うkeystone projectについて紹介されました。
  • Snapshot, Clone & Boot from Volumes
    • NTTサイバースペース研究所森田氏と筆者での共同で発表を行ないました。volume snapshot/cloneについてはNTTサイバースペース研究所森田氏が、boot from volume 関して山幡の担当です。
      aws ebs boot相当を実現する物であり、利用したいとの要望が高いようで、聴衆も期待していたよりも多めでした。
  • API-controlled iSCSI Block Storage

    • Lunrプロジェクトの紹介。volume serviceをapiを持つ独立したserviceとして実装しなおし、driverのreference実装としてswift上に実装しようとする既存のopenstack1.1 APIをモデルに使用し、/volumes,/snapshots,/exportsをAPIとして使用します。また、dirverとしてはsnapshot等を実装する予定です。
  • SDiscussion on Design & Software Considerations for Making Nova HA/Fault Tolerant
    • OpenStackに残るSPOFをHA/fault tolerantにするにはどうしたらいいか議論されました。特にqueueに関して集中して議論されました。
      XMPPやburrowなども候補に挙がりましたが、当面は現在使用しているRabbitMQに関して調査を行なっていく方向となりました。

 

4日目(4月29日)

 

  • Reference Architectures

    • テスト環境構築の為のリファレンスは何が良いのかについて話し合われました。ホスト OS, hypervisor, dbなどそれぞれ多くの候補が挙げられていました。
  • Planned & Unplanned Features for Swift
    • swiftの今後の開発予定について議論されました。diabloで予定されている物と予定されていないものに関してそれぞれ話し合われました。
      予定されている模としては、access log delivery, self-destructing files, read-only filesやtiny URLがあり、予定されていないもの(次 release 以降の予定)はversioned file, quotaやS3 import/expotrなどが挙げられていました。

 

資料をPDFにまとめましたのでこちらからもお読みいただけます。
プレゼン資料『Snapshot, Clone & Boot from Volumes』 (PDF:122 KB)